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2013年度 報告書 巻頭言

  • Last Modified: 2014年11月19日 17:57
2013年度の総括と、新年度に向けて
理事長 駒宮 博男

 私にとって2013年は、生活困窮者自立支援法関連の事業で明け暮れた1年であった。関連事業の中では、全国の先進事例をいくつか見ることができた。
私自身、北から、秋田県藤里町社会福祉協議会、一般社団法人パーソナルサポートセンター、みやぎ生活協同組合、社会福祉法人一路会 中核地域生活支援センター「がじゅまる」、京丹後市 寄り添い支援総合サポートセンター等々、かねてより一度は現場を見たかった機関、どうしてもお会いしたかった方々に会うことができた。ご多忙にも関わらず対応していただいた全国の先進事例に関わる方々に、ここで改めてお礼を申し上げたい。

 この法律は、生活保護法の「改悪」とペアで作られたとの見方もある。しかし、これまでの社会的排除型日本社会に、新たに社会包摂の精神を注入するものであるとの積極的見方も存在する。
201541日より全国の福祉事務所のある自治体で施行される本法は、これからの日本の社会のカタチを変えることになる可能性を秘めていると、私は考えている。

 ややもするとこれまでの社会は経済性・生産性が価値の主軸を占めていたように思う。加えて、経済の右肩上がりを絶対的国是としているように思える。これは、保守も革新も同様であり、国レベルの人口減少=マーケットの縮小がほぼ確実となった今でさえ、「右肩上がり」を死守しようとしている姿からそれが見てとれる。
 こうした政治の動きとは裏腹に、格差社会は確実に拡大している。都市、郡部を問わず、概ね10世帯に1人の割合でいると言われている「孤立無業者」、児童の約1割と言われている「発達障がい」・・・こうした状況は大多数の市民の目に明らかである。にも関わらず、一人でも多くの「勝ち組」を生産することをなぜ目指すのか。一部の就労関連NPOまでがこうした動きに手を貸している有様である。残念ながら、環境破壊と格差社会を生み出したグローバリズムのバイアスはいまだ止めがたいものがある。


 前世紀終盤から顕著になった格差社会是正に関しての積極的対応策は、アベノミクスのコンテンツには入っていないようだ。女性政策にしても、政府は女性の「勝ち組」を作ろうとしているように思えてならない。
「勝ち組」は、放っておいても生まれるものだ。しかし「負け組」は、社会の構造を変えないと無くならない。今や20%の世帯が住民税非課税世帯であり、新卒の40%が非正規雇用である。ワーキングプアも数千万人と言われている。しかも、これは日本だけのことではなく、多くの先進国に蔓延している病理である。アメリカでは7人に1人がSNAP(Supplemental Nutrition Assistance Program、いわゆる"フードスタンプ"と呼ばれる食糧費補助対策)を利用しており、ヨーロッパでも若者の失業率は極めて高い。

 今やグローバル経済、なかんずくグローバルマネーは世界を支配している。従って、これまで辛うじて成立していた国民国家群による世界の秩序は、その上位組織であるグローバル経済・グローバルマネーに支配されており、もはやコントロール不能状態である。アマルティア・セン、ジョセフ・E・スティグリッツ等の言うように、グローバルマネーを国際社会がコントロールすべきであろうが、グローバルマネーの上位ガバナンスが存在しない以上、この戦略は絵に描いた餅となる。
我々に辛うじて可能な戦略は、目に見える範囲で地域を持続可能なものにすることくらいであろう。例え小地域といえども、持続可能な小地域が結集しなければ、社会全体が持続可能にはならない。国や県レベルではなく、あくまでも基礎自治体、あるいはより小さな地域が主体となって多様な持続可能地域を創造することが中核となるべきであろう。
 こうした大まかな現状分析にも、生活困窮者自立支援法は何ら抵触しない。法律の目標とすべきは「地域づくり」であり、支援の手法は「創造的・分権的」であるべきとされている。またこの法律は、当初より、法の隙間、制度の隙間からこぼれ落ちた人々、こぼれ落ちそうな人々に対するセーフティーネット構築が目的とされている。そして、これらの隙間を埋めるには、地域のあらゆる資源をフルに活用する必要が生じる。これは言わば地域の総力戦であり、できる限り多くの人々が、少しでもこの事業に参加することで地域全体を住みやすくすることを目指している。


 来年度は、いよいよ法施行の年となる。20154月に向けて、これから約半年間の準備で、当該自治体がいかにして法施行を迎えられるか、今、ぎふNPOセンターに課せられたミッションはこれに尽きる。
2014年春頃より既に準備に取りかかっている自治体もあるが、なかなか準備が進まない自治体もある。これら自治体をいかにして支援できるかが今年度の大きな仕事となる。

 ぎふNPOセンターは組織的に少々膨張し過ぎた感があるが、来年度はさらに膨張せざるを得ないかもしれない。こうした膨張期にありがちな間接部門の立ち後れ等、NPO法人の弱点をできる限り未然に補填しつつ、何とかやっていこうと思う。

 皆様方のこれまで以上のご指導、ご鞭撻、そしてご支援をお願いし、巻頭言としたい。

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